VANSのスニーカーって皆さん持ってますか?
履き易くて、割と買い易い値段で、ABCマート等でいつでも買えるから、今やかなりの割合で日本人が持っているくらい浸透しましたよね。
同じスニーカーで言ったら、CONVERSEのALLSTARに匹敵するくらいの浸透具合いではないでしょうか。
でもそれだけだとブランドの寿命というのはすぐ終わってしまいます。
幅広く一般層まで浸透しつつ、高感度な人たちの支持も受け続けないと、「VANSはイケてるブランドなんだよ!」というのが忘れられてしまいます。
色んなブランドとコラボレーションした商品を作ってみたり、一般的な市場に出ている商品よりこだわった商品ラインナップを出してみたり、という「ブランディング」というものが必要になります。
VANSはそのブランディングがとても上手いブランドだと言えます。
今回はVANSの中に存在するいくつかのラインのうち、「アナハイムファクトリー」ラインについて、通常のものとどこがどう違うのか比較も含めてご紹介していきたいと思います。
「アナハイムファクトリー」ラインについて
「アナハイムファクトリー」ライン(以下アナハイム)について、大まかなイメージをお伝えすると、
「VANS創業当時のシルエット・素材にこだわり、且つ機能面をアップデートした復刻ライン」というところですね。
となるとVANSの歴史にも少し触れなければなりません。
今でこそ巨大ブランドとなって世界中に工場を持って生産していますが、1966年創業当時はアメリカ、カリフォルニアのアナハイムという場所にお店と工場を構えていました。
当時は既製品を販売していたのではなく、店頭にサンプルを置いて、色やサイズをカスタムオーダーするというシステムだったようです。
今のVANSのビジネスからは考えられないですね。
今でも古着屋さんなどに行けば、アメリカ製のvintage VANSをみることができますが、同じ型でありながらここまで雰囲気が違うのかと驚きます。
アナハイムはそんな創業当時のアナハイム工場生産の雰囲気を再現しようというコンセプトのようです。
しかし、ただのvintage懐古主義に陥るのではなく、現代技術の良いところも加味された温故知新なラインになっています。
アナハイムと通常インライン商品の違い
アナハイム(メルカリで購入)
インライン(Beauty & Youthで購入)
それではアナハイムと通常インライン商品とを比較して、異なる点をお伝えしていきたいと思います。
今回比較するモデルは、「style36 OLD SKOOL」になります。
VANSの原点モデルというとAUTHENTICですが、今一番多くの人に履かれているベーシックモデルといえばこちらのOLD SKOOLではないかと思います。
「通常インライン」とお伝えしている方は、通常のアメリカ企画の商品です。(インライン商品は先に購入してかなり着用して汚れてしまっているので、正確な比較にはなりませんが、それでも違いがわかる部分としてお伝えできればと思います。)
アナハイムと通常インライン商品は、以下の4点で違いが確認できました。
- 値段の違い
- 素材の違い
- ソールの違い
- ベロ内側の違い
一つずつご紹介致します。
値段の違い
通常インライン:約¥7,000
アナハイム:約¥10,000
(いずれも税抜き)
同じ型で¥3,000ほどの差があります。
販売されているお店や時期でだいぶ変わってしまうので一概には言えませんが、大まかなイメージでいうと上記の価格になります。
筆者も上記を基準にして、メルカリ等で高い/安いを判断しております。
以前まで、アナハイムはBilly’sなどごく一部の限られた店舗でしか販売されていなかったので筆者もメルカリで購入しましたが、2022年春夏あたりから少し販路が広がって、Beauty & Youthでも販売されているようです。
それでも十分感度の高いアパレルのセレクトショップなので、ブランドイメージを壊さないお店にしか卸さないという姿勢は崩していません。
元々Beauty & Youthではインライン商品しか販売されていませんでしたが、ここにきてアナハイムの販売を始めるということは、「値段が高くても需要がある」ということなのでしょう。
素材の違い
横から見て真ん中にあたるキャンバス地に違いがあります。
(つま先側とかかと側のパーツはスエード素材です。)
インラインより、アナハイムのモノの方が厚地で張りがあります。
これにより、アッパーがしっかり成形され、へたりにくいです。
インラインの方は履き込んでいるということもありますが、生地が少し柔らかいため、へたっています。
ソールの違い
アナハイムラインのスニーカーで共通しているデザインポイントであり、個人的にはインラインとの一番大きな違いだと思う部分です。
左:アナハイム 右:インライン
ソールの外側を覆っているフォクシングテープの巻き上げ部分の幅が違います。
「巻き上げ」とはテープがアッパーにかかっている部分ですが、アナハイムに関してはその巻き上げの幅が少し広いんです。
ソールの黒いライン、及びその上下の白いラインのバランスが微妙に違うのがわかりますか?
ここが何mmか変わるだけなんですが、なぜこれが大きな違いかと言いますと、下画像のように自分が靴を履いて主観で見たときの見え方が違います。
左:アナハイム 右:インライン
あまり興味が無い方から見たら微差なのですが、いつも見ている定番スニーカーのバランスがほんの少し変われば見え方が激変するもんなんです。
筆者は結構歩く時に自分の靴を見てしまうことが多いので、余計に重要ポイントになります。
上:インライン
下:アナハイム
またフォクシングテープの色について、インラインの方が白さが強いピュアホワイトに近いのですが、アナハイムの方は乳白色に近い、暖かみのあるオフホワイトで少しツヤがあります。
もう一つ、つま先のテープが二重になっているトゥーガード部分の長さが違います。
アナハイムが短く、インラインの方が長いです。
ベロ内側の違い
左:アナハイム 右:インライン
アナハイムはベロ裏に、白地に青文字でVANSロゴとSTYLE No,(当時の型番)が書いてある、シンプルなタグが縫い付けられており、その下の方にサイズシールが貼られています。
インラインの方は、サイズシールだけですね。
店頭で実物を見て確認される際は、これが一番分かり易いかと思います。
誤解を与えそうな部分
二足を並べた画像ですぐに目に飛び込んでくる違いとして、履き口内側生地の色が違う、というのは皆さんお気づきだと思います。
アナハイムがホワイトで、インラインがブラックです。
確かに違う部分ではあるのですが、
「履き口の内側がホワイトのOLD SKOOLは全てアナハイムなのか?」
と聞かれると答えはNOなので、先に挙げた4点からは外しました。
インラインで企画された「同型素材違い」の商品や、「期間限定」商品などで単純にデザインとして履き口の内側がホワイトのOLD SKOOLというのは存在するからです。
ということは、アナハイムとインラインを分ける明確な違いとは言えないので、誤解を与えないように、今回は外しております。
とはいえ個人的には、履き口がホワイトのOLD SKOOL、好きです。
ブラックのものより全体のまとまり、収まりがいいと思います。
まとめ
アナハイムとインラインを比較してみましたが、いかがでしたでしょうか?
他に細かい違いがいくつもあるのですが、ブログという媒体で自分の文章力では伝えきれませんので、今回は4点の違いとして挙げてみました。
- 値段の違い(¥3,000ほどの差)
- 素材の違い(アナハイムの方がキャンバス地が厚い)
- ソールの違い(巻き上げの幅、色、トゥーガードの長さ)
- ベロ内側の違い(白地×青文字のタグが付く)
モノの違いとしては、ほんとに微差だと思います。
ほぼ同じものをなぜ¥3,000も高く出して買うのかという問いに対しては、「完全に自己満足です。」としか言いようが無いです。
老若男女みんなが履いているVANSのOLD SKOOL。
完全なる定番スニーカーですが、そんな定番だからこそ、
「どこでも買えてみんな履いているものはイヤだ。」
「派手じゃないけど特別なものが欲しい。」
「定番だからこそこだわりたい。」
という差別化を図りたい方はいっぱいいらっしゃると思います。
筆者ももれなくそんな一人です。
このアナハイムというラインの商品は、「天の邪鬼な消費者」の意識をくすぐるちょうど良い具合いの特別感があります。
履いている人だけが知っていれば良くて、知っている人だけが気づいてくれて
「あれ?それアナハイムじゃない?やっぱいいね。」
って言って頂けたり、
「あの人が履いてるVANSがなんかかっこいいんだけど何が違うんだ?」
なんて思ってほしいな〜とか妄想しちゃいます。
たびたび例に出させてもらっていますが、CONVERSEのALL STARでも国内規格品に対して、海外企画であるCT70というのがありますが、それと同じ構図かと思います。
もしアナハイムファクトリーラインの商品購入を検討されている方がいらっしゃったら、その検討材料になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。
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